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【形式名詞の見分け方】日本語の形式名詞とは? H28日本語教育能力検定試験Ⅰの解説 問題1の(8)

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「彼氏が浮気していることをフェイスブックで知った」の「こと」が形式名詞です。形式名詞とは何かを学びます。

目次

名詞の種類

日本語には二種類の名詞がいる。無情名詞と有情名詞だ。

無情名詞と有情名詞

日本語には二種類の名詞がいる、という文に違和感を覚えるのは無情名詞である「名詞」に「いる」を使っているからです。

無情名詞の意味

無情名詞とは、感い名詞です。存在を表すのに「ある」を使います。無生名詞ともいいます。

無情名詞の例

「目の前に発売されたばかりのスマホがある」「現金はないがクレジットカードがある」「リボ払いという手段がある」

有情名詞の意味

有情名詞とは、感る名詞です。存在を表すのに「いる」を使います。有生名詞ともいいます。

有情名詞の例

「窓辺にがいる」「窓の外にストーカーがいる」「ストーカーの後ろには幽霊がいる」「幽霊の後ろにはロボットがいる」「ロボットの足元には死体がある」

私たちは幽霊やロボットには感情が有ると考えているので「ある」より「いる」のほうがしっくりきます。一方、死体は感情が無いと考えているので「ある」が適しています。「死体がいる」と書かれるとゾンビのように動くんじゃないかと思ってしまいます。いわゆる有生性アニマシー)の問題です。

有生性(アニマシー)とは

有生性(アニマシー)とは、そのものが生きていると感じられる度合いのことです。日本語では、アニマシーが高いものの存在を「いる」、アニマシーが低いものの存在を「ある」で示します。また、アニマシーが高いものほど数を区別する傾向にあります。例えば、「自転車たち」と聞くと自転車が生きているような印象を受けます。アニマシー(有生性)に関する問題は平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題1で出題されました。問題文にアニマシーの詳しい説明がありますので、ご一読をお勧めします。

形式名詞と実質名詞

日本語には二種類の名詞がある。形式名詞と実質名詞だ。

形式名詞とは

形式名詞とは、それ自身では実質的意味がない名詞です。節をまとめて名詞化する仕掛けなどに使われます。例えば、「2年付き合っていた彼氏が実は既婚者であることをフェイスブックで知った」という文章の「2年付き合っていた彼氏が実は既婚者であること」という従属節は、「こと」という形式名詞によって名詞化されています。この文章における「こと」に実質的な意味はなく、節を名詞化する機能しかありません。

形式名詞に関する問題は平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3のCで出題されました。問題文に形式名詞についての分かりやすい説明がありますので、ご一読をお勧めします。

平成24年度 日本語教育能力検定試験 試験問題

平成24年度 日本語教育能力検定試験 試験問題

 
形式名詞の一覧

形式名詞には以下のような例があります。

・わけ

形式名詞「わけ」の例)どうりで記念日はいつも会えないわけだ。

・ため

形式名詞「ため」の例) 私が優しくしたために調子に乗ったんだ。

・うち

形式名詞「うち」の例)家族が気づかないうちは大丈夫と思っていたのか。

・はず

 形式名詞「はず」の例)バレないはずがないのに。

・もの

形式名詞「もの」の例)私も舐められたものだ。

・こと

 形式名詞「こと」の例)夫が男と不倫していたことを知った妻はどうするだろう。

実質名詞とは

実質名詞とは、形式名詞と異なり実質的な意味がある名詞です。

実質名詞の例

彼が嘘をついていたわけを知りたい。

この文章における「わけ」は、それ自身で理由という実質的な意味があるので形式名詞ではありません。 

形式名詞の見分け方

1,形式名詞はひらがな

形式名詞はひらがなで書くという特徴があります。

例…問いただしたうえで、彼の処罰を決めよう。

この文章における「うえ」は、実質的な意味を持たない形式名詞なので「上」とは書きません。

2,単独で名詞としての意味があるかどうか

ある名詞を形式名詞かどうか見分けるには、単独で意味があるかどうか、意味のある言葉に言い換えられるかどうか、検討します。

例…を起こすなら今のうちだ。

 この文章における「事(こと)」は、出来事・事件という意味があるので、実質名詞です。

形式名詞を学ぶのにおすすめの本は『形式名詞がこれでわかる』

『形式名詞がこれでわかる』では、形式名詞を基礎とする複合述語や文中表現を体系的に解説していますので、日本語教育能力検定試験対策にももちろん役立ちますが、中上級の学習者を教える日本語教師にとって最も役立つ書籍です。以下、『形式名詞がこれでわかる』の『本書の成り立ち』から引用します。

 日本語教育の初歩の文法事項についての解説書はたくさんある。初歩的な段階が終わったあと、次にどんな文法事項が問題になるのだろうか。これを調べてみると、種々の文末表現が重要であることが分かる。そして、そこには多くの場合、形式名詞が含まれている。

 形式名詞というのは、実質的な意味を失ってはいるが、名詞としての形式と働きを持つものである。日本語では、この形式名詞が他のことばと組み合わさることにより、きわめて重要な文法上の役割を担っている。しかし、それらについて体系的に、しかも教育的配慮をしつつ解説したものは少ない。

 そこで、東京外国語大学留学生日本語教育センター教官のグループが長年の教授経験を踏まえ、また独自の考察を加えて著したのが本書である。

形式名詞がこれでわかる

形式名詞がこれでわかる

2016日本語教育能力検定試験Ⅰ問題1(8)【形式名詞】の解説

以上の知識をもとに平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題1(8)【形式名詞】を検討します。

選択肢1,わけ

この文の「わけ」は「理由」という意味があります(「わけ」を「理由」に言い換えることができる)。僕が知りたいのは彼が遅刻したこと、ではなく、彼が遅刻した理由です。実質名詞です。

選択肢2,はず

この文の「はず」は実質的な意味を持ちません。形式名詞です。

選択肢3,ため

この文の「ため」は実質的な意味を持ちません。形式名詞です。

選択肢4,こと

この文の「こと」は実質的な意味を持ちません。形式名詞です。

選択肢5,うち

この文の「うち」は実質的意味を持ちません。形式名詞です。

よって、1が正解です。 

日本語教育能力検定試験の解説
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