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【日本語学習者の誤用の例】H28日本語教育能力検定試験Ⅰの解説 問題2

2016日本語教育能力検定試験の解説 2016日本語教育能力検定試験の解説-試験Ⅰ

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平成28年度(2016年)日本語教育能力検定試験Ⅰの問題2は、例年どおり学習者の誤用と異なる種類の誤用を選ぶ問題です。

目次

(1)有声音の無声化

「患者」の意で「かんしゃ」と発音する誤用は、有声音の無声化です。声帯を振動させて「じゃ」と発音しなければならないのに、声帯を振動させず「しゃ」と発音しています。

1,うらないの「ら」(弾き音)が「な」(鼻音)になっています。調音法の誤りです。

2,だいがくの「だ」が「た」になっているので、有声音の無声化です。

3,がんばっての「が」が「か」になっているので、有声音の無声化です。

4,あるばいとの「ば」が「ぱ」になっているので、有声音の無声化です。

よって、1が正解です。

(2)「なりました」に接続するイ形容詞とナ形容詞の連用形の違い

学習者は「寒になりました」と誤用しています。「寒い」はイ形容詞なので、「寒くなりました」と活用すべきです。「なりました」に接続する連用形に「に」をつけるのはナ形容詞(形容動詞)です。

ナ形容詞の連用形接続の例)外にずっといたので、健康なりました。

1,「無い」はイ形容詞にもかかわらず、「無いになりました」とナ形容詞(形容動詞)のように活用している誤用です。

2,「良い」はイ形容詞にもかかわらず、「良くになりました」とナ形容詞(形容動詞)のように活用している誤用です

3,「細い」はイ形容詞にもかかわらず、「細いになりました」とナ形容詞(形容動詞)のように活用している誤用です

4,「緊張」は名詞です。あるいは「緊張する」でサ行変格活用動詞です。「緊張しました」とすべきです。

よって、4が正解です。

(3)「よく」と「たくさん」の違い

「たくさん」は、一つ、二つ、三つ…と数えていって、その集合として数量が多いという気持ち(森田良行著基礎日本語辞典218頁)なので、数えられないものに対しては使うことができません。一方で、「よく」は、行為・作用の完全さ・頻繁さを表す場合(森田良行著基礎日本語辞典1187頁)に使うことができるのできます。「たくさん分かりません」ではなく「よくわかりません」とすべきです。

1,「よくこの注意を読んだほうが」とすべきを「たくさんこの注意を読んだほうが」としている誤用です。

2,「たくさん」は名詞を修飾する場合、 「の」をつけなければならない(日本語誤用辞典320頁)のに、そのまま名詞を修飾してしまったという誤用です。日本語誤用辞典では319ページの誤用例文11に同一の誤用があります。

3,「よく覚えていません」とすべきを「たくさん覚えていません」としている誤用です。

4,「よく見てください」とすべきを「たくさん見てください」としている誤用です。

「たくさん」の誤用に対する指導のポイント

「たくさん」は具体的な形で数量が多いことを示す副詞である。学習者は「たくさん」を多用しがちだが、肯定の程度表現には「よく」「かなり」、否定には「あまり」などを使うように指導する。

(日本語誤用辞典320,321頁より引用)

(4)「そうです」の誤用

現在の視覚的様態を表す場合、「そうです」は、イ形容詞、ナ形容詞(形容動詞)の語幹につきます(森田良行著基礎日本語辞典592頁)。しかし学習者は、イ形容詞の終止形につけて「寒いそうです」と誤用しています。正しくは「寒そうです」

1,イ形容詞の語幹につけて「難しそうです」とすべきを、終止形につけて「難しいそうです」と誤用しています。

2,「そうです」が動作動詞"雨が降る"につく場合、未来に"雨が降る"かもしれない状況を現状が呈している現状説明のことば(森田良行著基礎日本語辞典594頁)になります。「そうです」につく動作動詞は連用形になるので「夕立が降りそうな空模様」とすべきです。ところが学習者は終止形につけて「夕立が降るような空模様」と誤用しています。

3,「帰ってくる」という動作動詞に「そうです」がつく場合、「帰ってきそうです」となり、現在はまだ帰ってきていないけれど、未来に帰ってくるかもしれない状況を現状が呈していることを意味します。しかし選択肢3の文章は「さっき玄関で物音がしました」とあるので、すでに帰ってきたかもしれない状況です。その場合は「ようです」を使います。「ようだ」は、視覚的なものに限らず、広く感覚・知覚でとらえられる事柄一般に使用され(森田良行著基礎日本語辞典1181頁)、その場の状況からの判断を表す表現(初級を教える人のための日本語文法ハンドブック129頁)だからです。

4,イ形容詞の語幹につけて「寂しそうな様子です」とすべきを、終止形につけて「寂しいそうな様子です」と誤用しています。

以上より、1,2,4は「そうだ」に続ける活用を終止形にしている誤用ですが、3は「ようです」と「そうです」の混同による誤用なので、3が正解です。

(5)終助詞「ね」の誤用

終助詞の「ね」や「よ」は文末につけられない場合があります。

スーパー大辞林3.0によると、終助詞の「ね」には、①軽い詠嘆を表す。②軽く念を押す気持ちを表す。③相手の同意を求める気持ちを表す。④問いかける気持ちを表す。の意味があります。

問題のように「あなたは大学生ですか」という問いに対し、終助詞の「ね」を使うことはできません。自分のことだからです。自分が大学生であることに、①軽い詠嘆を表すのも②軽く念を押す気持ちも表すのも③相手の同意を求める気持ちを表すのも④問いかける気持ちを表すのもおかしいからです。なお、「彼は大学生ですか」という問いであれば「はい、大学ですね」と終助詞「ね」を使って答えることができます。②軽く念を押す気持ちを表します。

1,字が間違っているという指摘に対しては、終助詞の「ね」を使うことができます。しかしながら、間違っていたことは知らなかったはずなのだから、いきなり「ええ」と答えるのはおかしいです。「知っていてわざと間違えましたが何か?」という不愉快なキャラクターになってしまいます。「すみません、そうです。直します」と答えてはいかがでしょうか。

2,終助詞の「ね」の誤用です。

3,終助詞の「ね」の誤用です。

4,終助詞の「ね」の誤用です。

よって、1が正解です。

終助詞の「よ」の使い方に問題がある理由を説明している過去問

平成26年度日本語教育能力検定試験Ⅲ問題5問3では、ある発話において終助詞「よ」が使用不可能な理由を選ぶ問題が出題されていますので、そちらも要チェックです。

nihongokyouiku.net

外国人学習者による日本語の誤用に関するおすすめのテキスト

日本語教育能力検定試験Ⅰの問題2は毎年、外国人学習者による日本語の誤用なので、日本語の誤用辞典が一冊あると便利です。

日本語誤用辞典―外国人学習者の誤用から学ぶ日本語の意味用法と指導のポイント

日本語誤用辞典―外国人学習者の誤用から学ぶ日本語の意味用法と指導のポイント

『日本語誤用辞典ー外国人学習者の誤用から学ぶ日本語の意味用法と指導のポイント』は、日本語教育能力検定試験Ⅰ問題2の対策にももちろんおすすめですが、日本語教師として外国人学習者を指導する際に全力を発揮できます。各誤用に対して指導のポイントがまとめられており便利です。一方で、2016日本語教育能力検定試験Ⅰ問題2(1)有声音の無声化のような発音の誤りに関しては詳しい説明がありません。外国人日本語学習者の発音上の誤りは日本語教育能力検定試験に合格するための音声23が詳しいです。

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