日本語教師の日記

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【動詞の活用形の種類】五段動詞・一段動詞ではない動詞の分類方法とは? H28日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3Aの解説

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2016年日本語教育能力検定試験Ⅰの問題3Aは、動詞の活用と分類に関する問題です。国語学・国語教育では、動詞の分類に関して、動詞の活用に基づく2つの分類方法があります。

目次

活用語尾の母音の変化に基づく分類方法

活用語尾の母音の変化に基づいて動詞を分類すると、五段動詞・一段動詞・不規則動詞に分けられます。

五段動詞とは

五段動詞とは、活用語尾の母音が五段に変化する動詞です。五段活用動詞。日本語教育では、第2群規則動詞動詞1グループとする教科書もある)といいます。

五段動詞の例)

遊ぶ→遊(ない)・遊(ます)・遊・遊(ば)・遊(う)

切る→切(ない)・切(ます)・切・切(ば)・切(う)

一段動詞とは

一段動詞とは、活用語尾の母音の変化が一段しかない動詞です。一段活用動詞。日本語教育では、第1群規則動詞動詞2グループとする教科書もある)といいます。

上一段活用の動詞の例)見る・着る・落ちる

見る→(ない)・(ます)・(る)・(れば)・(よう)

着る→(ない)・(ます)・(る)・(れば)・(よう)

下一段活用の動詞の例)見える・寝る・食べる

寝る→(ない)・(ます)・(る)・(れば)・(よう)

食べる→食(ない)・食(ます)・食(る)・食(れば)・食(よう)

不規則動詞とは

不規則動詞とは、語尾が不規則に変化する動詞です。変格活用動詞。日本語教育では、第3群不規則動詞動詞3グループとする教科書もある)といいます。第3群不規則動詞のグループに属するのは「来る」と「する」だけです。

・カ行変格活用動詞の「来る」

・サ行変格活用動詞の「する」 

語幹末尾の形態的特徴に基づく分類方法

動詞の分類方法には、語幹の末尾の形態的特徴に基づく分類方法もあります。

語幹とは

語幹とは、語尾が変化する語の変化しない部分。語形変化の基礎となる部分のことです。

母音語幹動詞とは

語幹末尾はローマ字で確認します。一段活用の動詞(第1群規則動詞)の語幹は、「着る(ki-ru)」のように母音(「着る」の場合はi)で終わっているので、語幹末尾による分類では母音語幹動詞母音動詞)に分類されます。

「着る」の活用→着ない(ki-nai)・着ます(ki-masu)・着る(ki-ru)・着れば(ki-reba)・着よう(ki-you)

子音語幹動詞とは

五段活用の動詞(第2群規則活用)の語幹は、「切る(kir-u)」のように子音(「切る」の場合はr)で終わっているので、語幹末尾による分類では子音語幹動詞子音動詞)に分類されます。

「切る」の活用→切らない(kir-anai)・切ります(kir-imasu)・切る(kir-u)・切れば(kir-eba)・切ろう(kir-ou)

日本語教育のための文法を学ぶのにおすすめの参考書

日本語教育能力検定試験において最も重要な分野は文法です。文法関連が一番多く出題されるからです。分野ごとの参考書は不要と考えている方でも文法だけは持っていたりします。日本語教育における文法入門の本はたくさんあり私も色々読んでみましたが、その中でもおすすめできるのは、藤原雅憲著『日本語教育能力検定試験に合格するための文法27』です。アルクの日本語教育能力検定試験に合格するためのシリーズは分野ごとに執筆者が異なるため、良い本もあればいまいちな本もあるのですが、『日本語教育能力検定試験に合格するための文法27』は良い本の一つ。日本語教育能力検定試験に出題される文法の内容が分かりやすく必要最小限の量で説明されているので効率的に文法を学べます。以前おすすめした『初級を教える人のための日本語文法ハンドブック』は教えることに特化した日本語教師向けの実践的日本語文法本でしたが、『日本語教育能力検定試験に合格するための文法27』は自分自身が学習するのに役立つ本です。アルクの日本語教育能力検定試験に合格するためのシリーズの中では、『日本語教育能力検定試験に合格するための基礎知識50』の次に売れている人気の参考書。動詞の活用形と種類に関しては62頁以降に説明があります。

日本語教育能力検定試験に合格するための文法27

日本語教育能力検定試験に合格するための文法27

ただし、今回の問題に関連する内容が一番詳しいのは、初級を教える人のための日本語文法ハンドブックです。

2016日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3A【動詞の活用と分類】の解説

以上の知識をもとに平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3A【動詞の活用と分類】を検討します。

(1)子音語幹動詞と母音語幹動詞の違いとは?

「切る」の語幹は「kir-」で語幹の末尾は子音なので子音語幹動詞

「着る」の語幹は「ki-」で語幹の末尾は母音なので母音語幹動詞

よって、正解は2です。

(2)「サ変動詞」の活用形が不規則なものとは?

活用形が不規則なサ変動詞を探すために各選択肢の語に「ナイ」をつけて活用してみます。 

1,愛する→愛さない、愛しない、愛せない

2,失恋する→失恋しない

3,恋愛する→恋愛しない

4,恋する→恋しない

よって、1が正解です。

「愛する」の活用に関しては、初級を教える人のための日本語文法ハンドブック279頁に詳しいコラムがあります。

(3)「日本語教育における文法の考え方」に関する記述として不適当なものは?

日本語教育における文法の考え方は、日本語学習者にとって分かりやすいように工夫されていますので、国語教育(学校文法)とは異なる部分があります。

1,国語教育(学校文法)では、「切ろう」「着よう」を《動詞の未然形+助動詞ウ/ヨウ》と考えますが、日本語教育では「切ろう」「着よう」などの語形全体を活用形(意向形)と考えますので、選択肢1は適当です。

2,初級を教える人のための日本語文法ハンドブック340頁から引用します。

学校文法の形容詞と形容動詞は、名詞を修飾したり名詞の状態を言い表すという働きは同じですから、日本語教育では同じ形容詞として扱い、活用によってイ形容詞とナ形容詞に分けます

よって、形容詞と形容動詞は共に連体機能を持つことから、形容詞として扱うという選択肢2は適当です。

3,「〜て」に接続する形(連用形)の五段動詞は、撥音便(遊んで)、促音便(かまって)、イ音便(聞いて)などのように音便が生じて変化します。

kyujin.nihongokyouiku.net

しかし日本教育における文法では、たとえ音便が生じても「テ形」として同じ活用形と考えます(学校文法では連用形)ので、選択肢3は不適当です。

4,初級を教える人のための日本語文法ハンドブック349頁から引用します。

日本語教育では助動詞という考え方をせず動詞の活用形として扱います。このため活用の種類は学校文法より多くなります

日本語教育で用いられる活用形の名称

日本語教育で使う活用形の名称と学校文法(国語教育)の対比を、初級を教える人のための日本語文法ハンドブック351頁から引用します。

否定形《未然形+助動詞ナイ》→否定形の例)吐かない

意向形《未然形+助動詞ウ/ヨウ》→意向形の例)吐こう

受身形《未然形+助動詞レル/ラレル》→受身形の例)吐かれる

使役形《未然形+助動詞セル/サセル》→使役形の例)吐かせる

マス形《連用形+助動詞マス》→マス形の例)吐きます

テ形連用形+接続助詞テ》→テ形の例)吐いて

タ形連用形+助動詞タ》→タ形の例)吐いた

タリ形・タラ形連用形+助動詞タリおよびその活用形》→タリ形・タラ形の例)吐いたり

よって、国語教育で用いられる分類よりも、多くの活用形を立てるという選択肢4は適当です。

以上より、正解は3です。

(4)動詞分類のための判別方法とは?

各選択肢の活用形の名称は日本語教育における文法と国語教育における文法(学校文法)で以下の違いがあります。

1,辞書形(日本語教育文法)→終止形(学校文法)

2,ナイ形(日本語教育文法)→未然形(学校文法)いわゆる否定形

3,バ形(日本語教育文法)→仮定形(学校文法)

4,タ形(日本語教育文法)→連用形(学校文法)いわゆる過去形

動詞の分類には、ナイ形を確認するのが最も有効なので正解は2です。

動詞判別の例

ない→活用語尾の母音がア段なので五段活用動詞

ない→活用語尾の母音がイ段なので上一段活用動詞

ない→活用語尾の母音がエ段なので下一段活用動詞

 

(5)活用語形の知識が不十分な学習者のための動詞判別方法とは? 

1,辞書形がルで終わらない動詞は五段動詞であるという判別方法は簡単なので、活用語尾の知識が不十分な学習者には役立ちます。

なお、全ての五段動詞の辞書形がルで終わるわけではありません。

辞書形がルで終わらない動詞→五段動詞 ○

五段動詞→辞書形がルで終わらない動詞 ☓

例)「切る」は五段動詞がだが、辞書形がルで終わる。

2,2拍語「見る」「切る」は一段動詞ですが、「飛ぶ」「勝つ」「去る」「知る」「読む」「書く」「混む」「飲む」など2拍語の動詞は五段動詞にも多いため、判別できません。

3,訓令式ローマ字を使うと活用形を正確に表記できますが、訓令式ローマ字を使うだけで動詞を判別できるわけではありません。活用語形の知識が必要です。

4,五段動詞を連用形(テ形)にすると様々な音便形が現れますが、サ行五段動詞(「隠す」「話す」「明かす」など)のように音便形が現れない五段動詞もありますので、動詞の判別方法としては役立ちません。

以上より、1が正解です。

日本語教育能力検定試験の解説
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