「日本語教師養成講座420時間コースのことを思い出す」の「思い出す」が複合動詞です。複合動詞は日本語教育能力検定試験のお気に入りなので確実に理解しましょう。
目次
複合動詞とは
複合動詞とは読んで字のごとく、二語の複合によってできた動詞です。
複合動詞の例
思う+出す→思い出す
疲れる+果てる→疲れ果てる
走る+切る→走り切る
2016日本語教育能力検定試験Ⅰ問題1(7)【複合動詞の意味】の解説
平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題1(7)は【複合動詞の意味】です。複合動詞の意味という観点から見て他と性質の異なるものを選べということなので、まずは各選択肢の複合動詞の意味を考えます。
1,「飲み切る」の意味は…すっかり飲んでしまう。
複合動詞の後項「切る」は、前項の動詞「飲む」が完遂したことを意味しています。
2,「使い切る」の意味は…全部使ってしまう 。使いはたす。
複合動詞の後項「切る」は、前項の動詞「使う」が完遂したことを意味しています。
3,「噛み切る」の意味は…物を噛んで切る。
複合動詞の後項「切る」は、本来の意味(切断)であり、前項はその手段を表しています。「噛んで切る」
4,「出し切る」の意味は…全部出してしまう。出しつくす。
複合動詞の後項「切る」は、前項の動詞「出す」が完遂したことを意味しています。
5,「走り切る」の意味は… 最後まで走る。走りとおす。
複合動詞の後項「切る」は、前項の動詞「走る」が完遂したことを意味しています。
1,2,4,5の「切る」は、前項の動作が完遂したことを意味しているのに対し、選択肢3の「切る」は本来の意味です。
よって、3が正解です。
複合動詞に関する問題は毎年出題されています
複合動詞が関係する問題は毎年出題されています。2011年には2つも!好きねえ。最も重要な分野の一つなので以下の過去問は全てチェックすることが望ましいです。
日本語教育能力検定試験で出題された複合動詞の問題一覧
複合動詞を学ぶのにおすすめのテキスト
『複合動詞の構造と意味用法』が複合動詞の分類と意味用法に関して権威ある本ですが、プレミアがついており1万円を超えるので素人には手が出しにくいです。
近年発売された『現代日本語における複合動詞の組み合わせ―日本語教育の観点から』は、日本語教育の本では珍しいkindle版もあるので、海外在住の日本語教師の方も容易に入手できます。著者の何志明助教授は香港人で日本語ネイティブではありません。
筆者は現在日本語の複合動詞について研究を行っているが、かつて学習者として日本語を学習していた時、複合動詞に対してさまざまな疑問を抱いていた。複合動詞に対する疑問は決して筆者1人だけの問題ではなく、日本語学習者、とりわけ中級や上級の学習者ならおそらく誰でも経験したことがあるだろう。日本語複合動詞の習得問題については、多くの学習者から「難しい」、「なるべく避けたいし、使いたくない」などのような声を筆者はしばしば耳にしてきた。また、日本語学習者が複合動詞をあまり使っていない上京は以前から日本語教師や研究社によってずっと指摘されつづけてきた課題の1つである。これらの指摘は複合動詞習得については学習者も教師も満足する結果が得られていないことを示唆している。(本書はしがきより)