"want"は動詞だと思いますか?「欲しい」は動詞だと思いますか?
2016年日本語教育能力検定試験Ⅰの問題3Bは、状態性の述語に関する問題です。述語(形容詞・名詞・動詞)は、状態性の述語と非状態性の述語に分けられます。
目次
- (6)状態性の動詞とは?
- (7)似た意味を表していても言語によって品詞が異なる例として不適当なもの
- (8)状態動詞とは?
- (9)状態動詞と非状態動詞のル形の意味の違い
- (10)存在を表す「ある」の非状態動詞の用法の例
2016日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3B【状態性の述語】を解説します。
(6)状態性の動詞とは?
状態とは、変化する物事の、その時その時の様子(スーパー大辞林3.0)。
「教える」「言う」「知る」は動作であって様子ではありません。一方、「見える」というのは様子です。
状態性の動詞の例)私の家からは富士山が見える
この例文の場合、富士山を実際に見ているかどうかではなく、富士山が「見える」という様子を表しています(動作を表したい場合は「見る」を使う)
よって、選択肢4の「見える」が状態性の動詞です。
(7)似た意味を表していても言語によって品詞が異なる例として不適当なもの
意味は似ているのに英語と日本語で品詞が異なる言葉の例として不適当なものを選びます。
1,英語の"want"は動詞、日本語の「欲しい」は形容詞
2,英語の"need"は動詞、日本語の「要る」は動詞
3,英語の"sick"は形容詞、日本語の「病気だ」は名詞+断定の助動詞
4,英語の"different"は形容詞、日本語の「違う」は動詞
よって、2が正解です。
(8)状態動詞とは?
状態動詞の記述として最も適当なものを選ぶ問題です。問題文中に「存在を表す『ある』 は代表的な状態動詞」という大ヒントがあります。「ある」を使って各選択肢を検討します。
1,『日本語教育能力検定試験に合格するための文法27』27頁によると、一つの名詞を要求する動詞を一項動詞、二つの名詞が必要な動詞を二項動詞、三つの名詞とともに使われる動詞を三項動詞と呼びます。一項動詞は自動詞、二項動詞、三項動詞は他動詞です。
「ある」は「お金がある」のように一つの名詞で使えますので一項動詞です。3項型の文型はとりません。よって、選択肢1は不適当です。
なお、3項型の文型を取る動詞には、「あげる」「くれる」「紹介する」などがあります。
3項型の文型の例)猫が僕に死んだ虫をくれた。
2,「ある」は場所を表す場合、ニ格を取ります。
状態動詞「ある」の例)公園に自転車がある
3,選択肢2の例で見たように、状態動詞「ある」は「(ニ格ー)ガ格」の文型を取ります。
4,選択肢1で検討したように、「ある」は格を取ります。
よって、正解は3です。
(9)状態動詞と非状態動詞のル形の意味の違い
ル形とは
ル形とは、辞書形のことです。基本的にルで終わるのでル形と呼ばれます。しかし五段活用動詞だけはルで終わるとは限りません。
状態動詞は、主節においてル形で現在を表します。
状態動詞のル形の例)公園に自転車がある
非状態動詞は、ル形で未来を表します。
非状態動詞のル形の例)明日から本気出す
(10)存在を表す「ある」の非状態動詞の用法の例
非状態動詞の用法では、ル形のテンスの解釈が異なると問題文中に大ヒントがありますので、ル形のテンスの解釈が異なる選択肢を探します。
1,堤防沿いに立派な桜並木があるのテンスは現在です。
2,まだ、屋根の上に少し雪があるのテンスは現在です。
3,祖父の家に古い大きな蔵があるのテンスは現在です。
4,今度、村の伝統的な祭りがあるのテンスは未来です。
よって、4が正解です。