2016年日本語教育能力検定試験Ⅰの問題3Cは、日本語の音変化に関する問題です。日本語の音の構造、自由異音と条件異音の例を学びます。
目次
異音とは
構造言語学における異音とは、同じ音素に属する異なる音のこと
日本語の異音の例
音素/s/(サスセソ)の異音は[S][θ]
音素/r/(ラ行)の異音は[ r ][ ɾ ][ l ]
音素とは
音素とは意味を区別する最小の音の単位
自由異音とは
自由異音とは自由に現れることのできる異音のこと
日本語の自由異音の例
音素/s/(サスセソ)の自由異音は[s][θ]
音素/r/(ラ行)の自由異音は[ r ][ ɾ ][ l ]
音素/g/(ガ行)の自由異音は[ g ][ ŋ ]
条件異音とは
条件異音とは、現れる条件が決まっている異音のこと
日本語の条件異音の例
直後の音によって変化する促音
促音とは、小さい「ッ」のこと。
直後の音が破裂音・破擦音のときは、破裂音の閉鎖が長く伸びた無音状態になる。
例)いっぱい
直後の音が摩擦音のときは、その摩擦音が長く発音される。
例)いっさい
直前の音によって変化する長音
長音とは、伸ばす音「ー」のこと。引く音、引き音ともいいます。
直後の音によって変化する撥音
撥音/N/とは、しりとりで負ける「ン」のこと
直後の音が両唇音([p][m][m])のとき→/N/の条件異音は[m]
直後の音が歯茎音([t][d][ts][n][ɾ])のとき→/N/の条件異音は[n]
2016日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3C【日本語の音変化】の解説
以上の知識をもとに、2016日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3C【日本語の音変化】を解説します。
(11)日本語の子音の特徴
日本語の子音は、調音点と調音法が同じでも声帯振動の有無(声帯振動があれば有声音、声帯振動がなければ無声音)で異なる音と認識されます。
軟口蓋破裂音の無声音)カキクケコ
軟口蓋破裂音の有声音)ガギグゲゴ
つまり、有声/無声の対立がありますので、1が正解です。
(12)日本語の自由異音の例を選ぶ
ガ行[g]の鼻音化[ŋ]に決まった条件はありませんので自由異音です。よって、4が正解です。
(13)以降の解説は下記記事参照
(13)日本語で無声化が生じやすい例とは?
(14)「語形成」による音変化のうち「連声(れんじょう)」の例とは?
(15)動詞のテ形(連用形)における「音便」とは?
日本語教育能力検定試験で過去に出題された異音の問題一覧
日本語教育能力検定試験で過去に何度か日本語の異音に関する問題が出題されていますので過去問も要チェックです。