語形成に関する音変化(連濁と連声)は、日本語教育能力検定試験でよく出題されるので、連濁のルール、ライマンの法則と例外、連声現象の規則を覚えましょう。
目次
連濁の意味
連濁とは、二つの語が結合して一語をつくるとき、後ろの語の語頭の清音が濁音に変わること(スーパー大辞林3.0)。
連濁の例
はな+ひ→はなび
ひと+とおり→ひとどおり
連濁の法則
連濁しにくい語
・複合動詞
例)噛み切る、通りかかる
・2語が並列的な関係で意味的関連がない場合
例)山川(やまかわ)
・漢語、外来語(ただし、日本語化した語は連濁する傾向)
例)輸入品(漢語の複合語)、デジタルカメラ(外来語の複合語)、和菓子(漢語の複合語だけど日本語化)
ライマンの法則とは
ライマンの法則とは、後ろの語にもとから濁音がある場合は連濁しないという法則。
ライマンの法則の例
はる+かぜ→はるかぜ○ はるがぜ☓
ライマンの法則の例外
「縄梯子」は、後ろの語である「梯子(はしご)」に濁音が含まれていますが、「縄梯子(なわばしご)」と連濁します。
連声の意味
連声とは、二つの語が連接するときに生ずる音変化の一つ(スーパー大辞林3.0)。前の語の末尾のm/n/tが、後の語の先頭のア・ヤ・ワ行をマ・ナ・タ行の音に変化させること。連声の読み方は「れんせい」でも「れんごえ」でもなく「れんじょう」なので注意。
連声の例
かん+おん→かんのん(観音)
いん+えん→いんねん(因縁)
さん+い→さんみ(三位)
せつ+いん→せっちん(雪隠)
「語形成」による音の変化のうち「連声」の例を選べ 2016日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3C(14)の解説
以上の知識をもとに、平成28年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3C(14)を検討します。
1,舟歌(ふなうた)
ふね+うた→ふなうた、のように合成語において前の語の母音が交代することは転音(母音交代)といいます。
2,観音(かんのん)
上記のとおり、「観音」は連声現象の一例です。
3,国旗(こっき)
こくき→こっき、のようにある音が「ッ」(促音)に変わる現象は促音便といいます。
4,小雨(こさめ)
こ+あめ→こさめ、のように合成語において元の語になかった音が付け加わる現象を音韻添加といいます(ameにsが添加されてsameになっている)。
以上より、2が正解です。
連濁と連声の法則に関する問題一覧
以下のとおり、日本語教育能力検定試験では、語形成による音変化(連濁と連声)が繰り返し出題されていますので過去問も要チェックです。
・平成24年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3A(4)
選択肢の一つとして連濁と連声が登場
・平成26年度日本語教育能力検定試験Ⅱ問題6の1番
聴解問題の選択肢の一つとして「連濁が起こっていない」が登場
・平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3B(9)(10)(11)
(9)連濁のルールとして誤っているものを選ぶ問題
(10)連濁を阻害する要因に関する「ライマンの法則」の例外
(11)前部要素と後部要素の意味関係によって連濁しにくい例
平成27年度日本語教育能力検定試験Ⅰ問題3Bは語構成に関する問題で、問題文において「複合語」「派生語」「連濁」が分かりやすく説明されているので一読をおすすめします。

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