H29日本語教育能力検定試験Ⅰの問題Ⅰの(8)は【助動詞の意味】です。
打消しの「ぬ」と完了の「ぬ」の見分け方
打消しの助動詞「ぬ(ず)」と完了の助動詞「ぬ」を見分ける問題です。
基本形 未然形 連用形 終止形 連体形 仮定形 命令形
打消し
「ぬ」 「ず」「ぬ(ず)」「ぬ」「ね」
「ざら」「ざり」 「ざる」「ざれ」
完了
「ぬ」 「な」 「に」 「ぬ」 「ぬる」「ぬれ」「ね」
見分け方は、
打消しの「ぬ」は動詞の未然形(ない形の「ない」ドロップ)につき、
完了の「ぬ」は動詞の連用形(ます形の「ます」ドロップ)につきます。
解説
それぞれの意味を確認します。
1 風立ちぬ
連用形(立ちます)についているので、完了の「ぬ」です。
打消しの場合は「風立たぬ」となります(例:「沈まぬ太陽」)
同様に「風と共に去りぬ」も完了の「ぬ」です(打消しなら「風と共に去らぬ」)。
2 招かれざる客
「ざる」の形は完了にはありません。
3 転ばぬ先の杖
未然形(転ばない)についているので、打消しの「ぬ」です。
打消しの場合は「転び」につきますが、後ろが「先」という連体詞なので連体形「ぬる」になり「転びぬる杖」となります。
4 なきにしもあらず
「ず」の形は完了にはありません。
5 見て見ぬふりをする
未然形も連用形も「見」ですが、後ろが「ふり」という連体詞なので、「ぬ」は打消しのみです。完了の連体形は「ぬる」なので完了の場合は「見ぬるふり」となります。
以上より、1のみ完了の意味なので答えは1です。